債務整理

自己破産はどこの裁判所に申し立てる?

自己破産はどこの裁判所に申し立てる?

自己破産手続は、裁判所に申立てをすることにより開始します。ですから、「自己破産をする」と決めたら、まずどこの裁判所に申立てをするのかを確認しておく必要があります。

なぜなら、裁判所によって自己破産手続の運用や申立ての際に必要な書類などが違ってくるからです。

そのため、自分が申立てをする裁判所の運用に合った準備を進めていく必要があります。

ここでは、自己破産の申立て裁判所について解説します。

1.自己破産事件の管轄裁判所

我が国には、最高裁判所(東京)を頂点として、高等裁判所(全国に本庁8庁、支部6庁、知的財産高等裁判所1庁)、地方裁判所(全国に本庁50庁、支部203庁)、家庭裁判所(全国に本庁50庁、支部203庁、出張所77か所)、簡易裁判所(全国に438庁)という多数の下級裁判所があります。

ですが、自己破産は上記のどこの裁判所に申立てをしてもよいというわけではありません。

裁判所には「管轄」というものがあり、管轄のある裁判所に申立てをする必要があります。「管轄」とは、簡単に言いますと、その事件について取り扱うことができる裁判所はどこかという裁判所間の分担の取り決めです。

管轄については、民事訴訟法などの法律に定めがあり、このように法律が直接定めている管轄のことを「法定管轄」と言います。

そして、自己破産の管轄裁判所については、「破産法」という法律に定められています。

では、実際に自己破産の管轄裁判所はどのように定められているのか、以下でみていきましょう。

2.自己破産事件の職分管轄

法定管轄には、職分管轄、事物管轄、土地管轄の3種類があります。このうち「職分管轄」とは、裁判所が行う司法作用に応じてどの裁判所が分担するかという点から定められた管轄です。

簡単に言いますと、どの種類の手続をどの種類の裁判所が取り扱うかという定めです。

そして、破産法では、破産事件の職分管轄を有する裁判所は「地方裁判所」であると定めています(破産法5条)。

ですから、最高裁判所、高等裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所に破産を申立てることはできません。必ず地方裁判所に申し立てることになります。

3.自己破産事件の土地管轄

土地管轄」とは、どの区域に関係する事件をどこにある裁判所が担当するかという点から定められた管轄です。

破産法では、職分管轄だけでなく土地管轄についても定められています。

(1) 個人破産の場合

個人破産の場合、事業者かそうでないかにより土地管轄が異なってきます。

①事業者でない場合

まず、自己破産をするのがサラリーマンや主婦など事業者でない個人の場合は、債務者(自己破産を申立てる人)の普通裁判籍を管轄する地方裁判所に管轄があるとされています(破産法5条1項)。

普通裁判籍とは、民事訴訟法上、事件の種類や内容にかかわらず一般的に定められる裁判籍です。

個人の普通裁判籍は、民事訴訟法4条2項で、「人の普通裁判籍は、住所により、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときは居所により、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときは最後の住所により定まる。」と規定されています。

ですから、事業者でない個人が自己破産をする場合には、原則としてその人の住所地を管轄する地方裁判所に申立てをすることになります。

たとえば、東京に住んでいる場合には東京地方裁判所が、千葉に住んでいる場合には千葉地方裁判所が申立てをすべき裁判所になります。

②事業者の場合

自己破産をするのが事業者である個人(個人事業主)の場合は、その主たる営業所の所在地(外国に主たる営業所を有するときは、日本におけるその主たる営業所の所在地)を管轄する地方裁判所に管轄があるとされています(破産法5条1項)。

ただし、事業者であっても営業所を有しないときは、債務者の普通裁判籍を管轄する地方裁判所に管轄があります。

③例外

個人破産の場合の原則は上記のようになりますが、例外的に、上記で定まる裁判所ではない裁判所に管轄が認められる場合があります。

まず、上記の規定に従って管轄裁判所を定めることができない場合については、例外的に、債務者の財産の所在地(債権については、裁判上の請求をすることができる地)を管轄する地方裁判所が管轄することになります(破産法5条2項)。

また、上記の規定に従って管轄裁判所を定めることができる場合であっても、例外的に連帯債務者間、主たる債務者と保証人間、夫婦間では、それぞれ一方の破産事件がすでに係属している地方裁判所で、もう一方が申立てをすることが可能とされています(破産法5条7項)。

たとえば、主債務者の破産事件が東京地裁に係属している場合には、名古屋に住んでいる保証人の破産申立てを名古屋地方裁判所でもすることができますし、東京地方裁判所でもすることができるということになります。

(2) 法人破産の場合

法人破産の場合は、個人事業主の自己破産の場合と同様、原則として、「その主たる営業所の所在地(外国に主たる営業所を有するときは、日本におけるその主たる営業所の所在地)」を管轄する地方裁判所に管轄があります(破産法5条1項)。

営業所がないときは、法人の代表者その他の主たる業務担当者の住所地を管轄する地方裁判所の管轄となります(破産法5条1項、民事訴訟法4条4項)。

以上が法人破産の管轄の原則となりますが、以下の場合について例外的な管轄が定められています。

①財産の所在地に管轄が認められる場合

個人破産の場合と同様に、上記の規定に従って管轄裁判所を定めることができない場合については、債務者である法人の財産の所在地(債権については、裁判上の請求をすることができる地)を管轄する地方裁判所が管轄することになります(破産法5条2項)。

②親子関係にある法人の破産の場合

親会社が子会社の総株主の議決権の過半数を有する場合で、親会社または子会社のいずれかについて破産事件、再生事件または更生事件がすでに係属しているときは、他方の法人もすでに親会社または子会社の事件が係属している地方裁判所に自己破産の申立てをすることができます(破産法5条3項)。

また、子会社または子会社及び親会社が孫会社の総株主の議決権の過半数を有する場合にも、孫会社を親会社の子会社とみなして、上記の規定が適用されます(破産法5条4項)。

③法人とその代表者が破産する場合

法人の破産事件等がすでに継続している場合に、法人の代表者が自己破産を申立てるとき、逆に、法人の代表者の破産事件等がすでに継続している場合に、法人が自己破産を申立てるときは、他方の事件が係属している地方裁判所に自己破産の申立てをすることができます(破産法5条5項)。

④大規模事件の場合

法人破産の場合は、個人の自己破産の場合と異なり、債権者の数が多数に上るケースも少なくありませんが、そのような大規模な法人破産の場合は、規模の大きな裁判所でないと対応が難しくなる可能性があります。

そのため、以下のように債権者数に応じて、例外的に規模の大きな裁判所に管轄が認められています。

・債権者が500人(社)以上の場合
主たる営業所の所在地や財産の所在地などを管轄する地方裁判所の他に、その地方裁判所の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも、自己破産の申立てをすることができます(破産法5条8項)。

・債権者が1000人(社)以上の場合
債権者が1000人(社)以上の場合は、上記規定により管轄が認められる地方裁判所に加えて、さらに東京地方裁判所または大阪地方裁判所にも、自己破産の申立てをすることができます(破産法5条9項)。

4.合意管轄は可能?

法律で定められた法定管轄にかかわらず、第1審にかぎっては、当事者間であらかじめ合意によって訴訟をする裁判所を定めることができます(民事訴訟法11条1項)。そのようにして定められた管轄を「合意管轄」と言います。

しかし、破産事件の場合、合意管轄は認められていません。申立てができるのは、あくまでも法律で定められた管轄の裁判所のみです。

このように合意管轄が認められない場合を「専属管轄」と言います。

5.自己破産は弁護士に相談を

今回は自己破産の申立てをする際の裁判所について解説しました。

借金問題でお悩みの方は、ぜひ一度泉総合法律事務所にご相談ください。当事務所では、自己破産をはじめとする債務整理に関するご相談を多数お受けしておりますので、お気軽にお問い合わせいただければと思います。

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