個人再生手続にかかる期間はどのくらい?
個人再生は、借金を大幅に減額できる非常に強力な債務整理です。
しかし、それと同時に、個人再生は様々な書類が必要で複雑な手続でもあります。
複雑な手続であるため、個人再生は申立てから無事に終わるまでにある程度の時間がかかります。
今日申立てて明日終わるような手続ではないのです。
それでは、一体どれくらいの時間がかかるのでしょうか?
ここでは、個人再生の流れや、手続にどのくらい時間がかかるのかを紹介していきます。
個人再生はいつ終わるのか?ひいては、自分の借金の苦しみはいつ終わるのか?
これらを知りたい方は、ぜひ本記事をお読みください。
このコラムの目次
1.個人再生とは
まずは、個人再生の概要を簡単に説明していきます。
個人再生は、前述の通り借金額を大幅1に減額してもらう手続です。
減額されて残った部分については、原則3年程度かけて毎月少しずつ返済していくことになります。
具体的な手続の流れは後述しますが、ものすごく端折って簡単に言えば、まず裁判所に申立て、再生計画案という返済計画のようなものを提出し、これを認可してもらい、認可後は再生計画に則って返済をしていくという流れになります。
自己破産と違って、個人再生は基本的に財産の処分をしなくて済みますし、「住宅ローン特則」と呼ばれる制度を利用すれば住宅ローン支払い中のマイホームを手元に残すこともできます。
個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2パターンがあります。
両者の大きな違いは、まず「債権者の(消極的な)同意」が必要かどうかです。
小規模個人再生で債権者から反対があった場合は、給与所得者等再生に切り替えるのが良いでしょう。もっとも、サラリーマンの方など変動幅の少ない安定的な収入がある方に限られます。
また、給与所得者等再生は小規模個人再生よりも最低弁済額が高くなる傾向があります。
特に理由がない場合は小規模個人再生を選択した方が最低弁済額を抑えられる可能性が高いです。
2.個人再生の流れと期間
ここからは、個人再生手続の流れと、手続き終了までにどれくらいの期間を要するかを解説していきます。
(1) 弁護士に相談
個人再生は手続が複雑なので、弁護士への相談と依頼はほぼ必須と考えてください。
自力で手続きをしようとすると、失敗するリスクが高いです。
依頼後は財産や負債の状況を調べたり書類を揃えたりする必要があるので、まだ裁判所へ申立てを行うには至りません。
(2) 裁判所へ申立て
事務所ごとに差異はありますが、依頼から1ヶ月程度で裁判所へ申立てる準備が整うと見込んでください。ただ、弁護士費用を分割で支払う場合には、通常は弁護士費用の支払いが完了してから申立ての準備に入ります。
平塚市の場合は「横浜地方裁判所小田原支部」へ申立てを行います。
裁判所へ申立てると個人再生委員が選任されることがありますが、弁護士に依頼した場合は特殊なケースを除いてほぼ選任されることはありません(東京地方裁判所の場合は必ず個人再生委員が選任されます。)。
場合によっては、申立てから1~2週間後に申立人と弁護士が裁判官と面談することになるかもしれませんが、弁護士と一緒に面談ができるので不安に感じる必要はありません。
(3) 個人再生手続の開始決定
申立てを受けた裁判所は提出された書類等を確認し、個人再生手続を開始できる要件を満たしているかをチェックします。
問題がなければ個人再生手続開始の決定が下されます。ここまでで、依頼から約2ヶ月くらいでしょう。
(4) 債権の届出
依頼から約3ヶ月後、申立ての際に提出した書類に基づいて、裁判所から債権者に対し、個人再生の申立人に対する債権を期日までに届出するよう通知がなされます。
その後、裁判所は債権者からの届出をまとめた債権届出書を個人再生の申立人に送付します。
申立人と弁護士は個々の債権について、その有無や額を認めるかどうかを判断して「債権認否一覧表」を提出します。
このとき、異議があれば書面で裁判所に提出します。
(5) 再生計画案の提出
依頼から約4~5ヶ月後、確定した債権額に基づいて弁護士と協力しながら再生計画案を作成し、裁判所に提出します。
裁判所はその内容を確認し、問題がなければ債権者に再生計画案の写しを送付して意見を聴取します。
(6) 再生計画案の認可
債権者から特に異議がなければ、裁判所が再生計画案を認可します。
認可された再生計画案は、1ヶ月程度後に確定されます。
(7) 再生計画に沿って支払いスタート
実際の返済が始まります。ここまでで、依頼から約7ヶ月後でしょう。
その後は、再生計画通り遅滞なく支払いを続けてください。
小規模個人再生と給与所得者等再生の手続はほぼ同じです。
強いて言えば、給与所得者等再生は債権者から異議を述べられる危険性がないので、その点では安心して進められるかもしれません。
ただし再生計画認可後の弁済額がかなり上がってしまう可能性があるのは大きなデメリットなので、その点は要注意です。
3.個人再生をスムーズに終わらせるために
個人再生が失敗すると、借金が減額されないままとなってしまいます。
問題なく個人再生を成功させるためにも、以下のことを守るようにしましょう。
(1) 書類の提出期限を守り、不備がないようにする
提出書類の中には、期限に遅れたら問答無用で失敗とされてしまうものもあります。
また、書類に不備があったら修正を求められるため、それに時間を取られてしまいます。
書類に不備がないようにするには、最初から個人再生に慣れた弁護士に任せるのが1番です。
自分でなんとかしようとすると手間も時間もかかるうえに、個人再生が失敗する可能性すら出てきます。
(2) 真剣かつ真摯な態度で臨む
個人再生を申立てると、裁判官あるいは個人再生委員と面談する機会があるかもしれません。
そういったときに不真面目な態度をとると「問題あり」と考えられて、個人再生手続の障害となる危険性があります。
また、裁判所や個人再生委員から指示されたことをしない、期限内にすべきことを怠る等するのは論外です。
さらに、弁護士から受けた指示を守らない場合も、個人再生が失敗に終わる可能性が高まります。
弁護士は申立人のために一生懸命手続その他の処理を行いますが、申立人が集めて弁護士に渡さなければいけない書類や情報も当然出てきます。
弁護士に渡す書類や情報に不備や虚偽があると、それが原因で個人再生できなくなる可能性もゼロではありません。
裁判官、個人再生委員、弁護士から受けた指示にはしっかりと従い、真面目な態度で個人再生に望んでください。
4.個人再生に失敗しないためにも弁護士へとご相談ください
個人再生には様々な注意点があります。一般人がその全てに気をつけて、個人再生を成功させるのは至難の業です。
しかし、弁護士に依頼すれば多くの問題は解決できます。
裁判所に申立ててから6ヶ月程度経てば個人再生手続は完了し、借金は減額されます。その後は再生計画に従って毎月少しずつ支払いを続けていけば良いので、生活が一気に楽になるでしょう。
借金で生活が苦しくなったら、一刻も早く泉総合法律事務所の弁護士に相談してください。
相談が早ければ早いほど、選択肢が広がり、より状況を好転させることができるはずです。
-
2019年7月8日債務整理 個人再生で問題になる債権者平等の原則をわかりやすく解説!
-
2019年9月30日債務整理 自己破産による就職や仕事への影響は?
-
2019年3月5日債務整理 個人再生の履行テストとは?