債務整理

給与所得者等再生で問題になる「可処分所得」の計算方法

給与所得者等再生で問題になる「可処分所得」の計算方法

個人再生手続の「給与所得者等再生」とは、2つある個人再生手続の種類のうち、債権者に反対されてしまうことがない手続です。

もっとも、ただでさえ残る借金の返済負担が増えやすいなどのデメリットもあります。
給与所得者等再生で返済負担が増えやすくなってしまう原因は、再生計画での返済額の基準に、「可処分所得の2年分」が追加されてしまうことです。

このコラムでは、給与所得者等再生で問題になる「可処分所得」の計算方法について説明します。

1.給与所得者等再生とは

給与所得者等再生は、債権者に反対されない代わりに、収入が安定していることなどが利用条件に追加され、再生計画上の返済額が膨らみがちな、個人再生手続の種類です。

一般的に用いられる個人再生手続の種類である「小規模個人再生」は、債権者の半分以上または借金総額の半分を超える債権者(たち)が、再生計画に反対すると、手続が打ち切りになってしまいます。

債権者に反対されてしまうリスクができない場合は、債権者の数が極端に少ないときや、特定の債権者が半分を超える債権を持っているときです。

具体的には、

  • 個人再生手続に反対することの多い強硬な債権者がいるとき
  • 住宅ローンのある持ち家を処分したが、なお住宅ローンの残高があるとき
  • FXや株式などの信用取引の追証金があるとき
  • スマホのソシャゲ課金(ガチャなど)の通信会社からの請求があるとき
  • おまとめローンをしているとき

などがあげられます。

このようなときには、債権者に反対されることのない給与所得者等再生が利用されるのです。

さて、債権者の反対リスクを回避できる給与所得者等再生ですが、収入の安定性が求められるなど、利用のハードルが高くなります。
その中でも、最大の問題が、再生計画の返済総額を定める基準に、可処分所得の2年分が追加されることなのです。

2.再生計画の返済総額の基準となる「可処分所得の2年分」

(1) 再生計画の履行可能性と返済総額の定め方

個人再生手続で借金が減額されるには、再生計画の案が裁判所に認可決定されなければなりません。

再生計画の認可条件で最も重要なものが、再生計画の履行可能性です。
再生計画の履行可能性とは、債務者が、現実に再生計画通りに支払いができる可能性のことです。

再生計画の履行可能性が認められる上では、収入などはもちろんですが、何より、返済額が大きくならないことが重要です。

(2) 再生計画の返済総額の定め方

再生計画の返済総額は、いくつかの基準の中で最も大きな金額に定まります。

小規模個人再生では、

  • 最低弁済額:債務者の借金に応じた金額(おおよそ借金の5分の1)
  • 清算価値:債務者の持つ財産総額

の2つが基準です。

そして、給与所得者等再生では、上記の最低弁済額と清算価値に加えて「2年分の可処分所得」が追加されるのです。

2年分の可処分所得は、しばしば、最低弁済額や清算価値よりも高額になるため、返済額が増えてしまい、再生計画の履行可能性が認められにくくなってしまいます

可処分所得の計算方法について簡単に説明してから、具体的な内容を説明します。

(3) 原則的な可処分所得の計算方法

可処分所得とは、債務者が自由にできるお金の金額、具体的には、収入から税金や政令で定められた生活費を差し引いたものです。

可処分所得の計算方法は、原則として下の通りです。

(2年間の収入合計額-所得税-住民税-社会保険料)÷2-1年分の最低生活費の額

この計算で出た金額を、2倍することで、返済基準となる2年分の可処分所得がわかります。

(4) 例外的な可処分所得の計算方法

例外的に、可処分所得の計算方法が変わる場合があります。

給与所得者等再生を利用するために追加で要求される条件には、「収入の変動幅が小さいこと」というものがあります。「変動幅が小さい」とは、一般的に、「変動幅が20%以内であること」とされています。

もっとも、これは目安にすぎず、転職など特別な事情がある場合には、20%以上の変動があっても、給与所得者等再生が利用できることがあります。

その場合、可処分所得の計算方法も微妙に変わります。例外的な計算方法は、以下の二つです。

再生計画案を提出する以前の2年間の間に、収入に20%以上の変動があった場合

変動があった時から、再生計画の案を提出するまでの期間の、債務者の収入や税金などを、1年間当たりの額に換算します。

そのうえで、最低生活費を引いて、可処分所得を計算します。

再生計画案を提出する以前の2年間の間に、収入の変動が20%以上から20%以内になった場合

収入の変動が20%以内になったときから再生計画の案を提出するまでの期間の債務者の収入や税金などを、1年間当たりの額に換算して、最低生活費を引いて、2倍して2年分にします。

次に、可処分所得を計算するうえで重要な二大項目、収入と生活費の具体的な内容について説明します。

3.可処分所得を計算する際の収入と生活費の内容

(1) 収入

給与収入はもちろん、副業や年金、不動産からの賃料なども含みます。

なお、かりに源泉徴収票の収入金額に通勤手当が含まれてしまっている場合、通勤手当は経費であり所得になりませんから、計算上収入から差し引いてください。

(2) 同居する家族の収入について

同居する家族、特に配偶者が働いていて収入があっても、可処分所得を計算するうえで、追加する必要はありません。

なお、再生計画の履行可能性では債務者の収入を補うため考慮できます。

(3) 生活費

税金同様に収入から差し引かれる「最低生活費」は、債務者のそれまでの実際の生活費や、将来現実に必要となるであろう生活費ではありません。

個人再生に関する法律について、内閣が定めた細かなルールである政令が、あらかじめ形式的に定めている金額が適用されます。

4.個人の財産を守る個人再生は弁護士に相談を

個人再生手続は、財産を守りながら借金の負担を大きく減らせる便利な債務整理手続です。しかし、小規模個人再生では、財産の配当を受けられない債権者には、手続に反対する権利が与えられてしまっています。

そこで、債務者が自由にできるお金全てを支払うことを条件に、債権者の反対を押し切って個人再生手続をすることができるものが、給与所得者等再生なのです。

基準となる可処分所得の計算は、細かいところがわかりづらく、専門的知識を持たない方には難しいでしょう。

計算できるにせよ、煩雑で専門的な問題は、専門家に依頼したほうが結果的に楽で済みます。

泉総合法律事務所平塚支店では、これまで多数の借金問題について、給与所得者等再生を含む個人再生で解決してきた確かな実績があります。平塚市、茅ヶ崎市、寒川町、大磯町、伊勢原市、秦野市、中井町、JR東海道線沿線にお住まい、お勤めの方は、どうぞ、お気軽にご連絡ください。

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