債務整理

自己破産をすると引っ越しはできなくなる?

「自己破産をすると引っ越しできなくなる」という話を耳にしたことがある方もいらっしゃるでしょう。
インターネットで調べてみると、そういった噂がたくさん見つかります。

事実、自己破産の申立てをした場合は引っ越しに制限がかかる場合があります。しかし、問題はそれがどういった制限なのかです。 

海外にだけ引っ越せなくなるのか、一生引っ越しができなくなるのか、あるいは数年の制限なのかなど、制限の内容を知らないと過度な不安を抱えてしまいます。

正確な知識を得ることで、自己破産の不安は解消されます。ぜひ、本記事を読んで不安を解消してください。

1.自己破産と引っ越し

(1) 破産法に基づいた居住制限

破産法には「破産者は、その申立てにより裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができない」とあります。 

これは、破産手続中に破産申立人が長期間いなくなると、破産手続に支障をきたす可能性があるからです。 
つまり、破産手続を滞りなく進めるために、手続中の引っ越しについては制限をされているのです。

とはいえ、裁判所の許可があれば引っ越しは可能です。
引っ越しによって裁判所の管轄が変わってしまうのであれば話は別ですが、同一市内や町内といった近場であれば許可は下りやすいでしょう。

一方、海外に移住したい等の希望はおそらく不許可となるでしょう。制限期間が過ぎるのを待ってください。 

(2) 引っ越しの制限を受ける期間

自己破産の手続きには管財事件と同時廃止という2種類の手続きがありますが、同時廃止という手続きの場合は、居住制限はかかりません。
問題は、同時廃止でなく管財事件のときです。 

管財事件では、自己破産の「破産手続開始決定」から「破産手続終了」まで数ヶ月、長くて半年程度制限がかかります。この手続中は自由に引っ越しをすることができません。

複雑な破産事件のときは1年程度制限されることもありますが、詳しい期間が知りたければ弁護士に見込みを聞いておきしょう。 

(3) 制限期間が終わった後の制限

自己破産の手続きが終われば、特に裁判所の許可を得ないでも全国どこへでも引っ越しが可能です。 

しかし、法律とは別の理由で引っ越し時に問題が発生するおそれがあるので、次の項目で説明します。 

【旅行の制限】
引っ越しと同様に、旅行についても破産手続中は制限があります。 しかし、裁判所の許可があれば旅行は可能です。
海外旅行についてもこれは同様で、破産したからといってパスポートが失効したり渡航が制限されたりすることはありません。 
実際には管財事件のときにのみ旅行の自由が制限されるので、同時廃止の場合は問題になりません。 
管財事件の場合でも破産手続が終われば制限がなくなります。数ヶ月から半年程度を見込んでおきましょう。 

2.破産後の引っ越しの注意点

破産後に引っ越す場合、法律とは別に、主に住まいについての問題が発生します。 

(1) マイホームの購入はできない

自己破産をすると、ほとんどのケースで持ち家が処分されてしまいます。 
しかし、新しくマイホームを購入しようとしても、自己破産後は住宅ローンを申請しても「ブラックリスト」に載っているため審査に落ちてしまいます。 

配偶者や同居している家族の名義でローンを組む等すればマイホームを購入できる可能性がありますが、そうでない場合は賃貸物件を選ぶことになるでしょう。 

現金で一括購入ができれば問題はありませんが、自己破産によって99万円を超える現金や20万円を超える口座残高は清算の対象となってしまいます。

現実的に考えれば、自分の力だけでマイホームを買うのは非常に難しいと言わざるを得ません。 

(2) 賃貸物件の利用では保証会社に注意

賃貸を使うにしても、問題がゼロになるわけではありません。

賃貸契約をするときに、保証人を使わず保証会社を利用する場合、保証会社がブラックリストのチェックをする可能性があります。
このため、自己破産をした後だと、入居時の審査に落ちるおそれがあるのです。

一方で、保証会社を使わない場合は問題にならないことがほとんどです。 
不動産業者は基本的にブラックリストのチェックをせず、定職についているか、定収入があるのか等を審査するからです。 

ただし、過去に家賃の滞納があった場合は話が違います。 
家賃の滞納は「全国賃貸保証業協会(LICC)」という不動産業者の情報ネットワークに情報が登録され、業者同士で共有されてしまいます。 

過去の滞納がバレると、入居審査に落ちることがあるので、過去に家賃の滞納があった場合、可能であればLICCに未加盟の業者を選ぶといいかもしれません。 

3.自己破産による制限の一覧

自己破産をすると、引っ越し以外にも様々なデメリットを受けなければなりません。 

最後に、自己破産によってどのような制限がかかるのかをまとめて見ていきましょう。 

(1) ブラックリストへの登録

ブラックリストとは俗称ですが、「借金ができなくなること=ブラックリストに載った状態」だと考えてください。

先述しましたが、自己破産をするとその情報が銀行・貸金業者・クレジットカード会社等の間で共有されます。

お金を貸す方からすると、自己破産をした人は返済能力に問題があると考えざるをえません。 
貸したお金を回収できない可能性がある人にお金を貸すことはできないという判断がされるため、自己破産をするとローンやクレジットカードの審査に落ちて、お金を借りることができなくなるのです。 

このため住宅ローンやマイカーローン等を組むことができなくなりますし、貸金業者からお金を借りることもできなくなります。 

クレジットカードに関しても、新しくカードを作ろうと申し込むと審査に落ちてしまいますし、既に持っているカードも更新の際などにいずれ使えなくなります。 

ブラックリストに載っている期間は5~10年です。 
この期間は基本的に現金払いでやりくりするか、カードを使うにしてもデビッドカード等審査のないカードを使って乗り切ってください。 

(2) 職業制限

自己破産をすると、手続き中は一部の職業に就くことができなくなります。
他人の財産に影響を及ぼす職業や、信用が大切な職業は要注意です。 

例えば以下のような職業に制限がかかります。

弁護士、税理士、宅建士等の士業 ・卸売業者 ・生命保険募集人 ・警備員 ・旅行業務取扱管理者 ・質屋 ・廃棄物処理業者 ・貸金業者 ・建築業者や測量業者 ・割賦購入あっせん業者

また、職業というわけではありませんが、後見人・保佐人・補助人になる資格も失います。 

制限期間は「破産手続開始決定」から「免責許可決定」までです。数ヶ月程度〜半年程度でしょう。

仕事ができないからといって会社を辞めなければならないわけではなく、制限のある仕事をしなければいいだけなので、一時的に別の部署に移る等して制限期間をやり過ごせば大丈夫です。
また、会社員の場合、自己破産したことを理由として解雇等を受けることはありません。

ただしお金を扱う部署にいる人の場合、お金を扱わない部署へ一時的に異動させられる可能性はあります。 

(3) 郵便の転送

破産手続中は、財産や債権者を調査する等の意味合いから、郵便物が破産管財人のところへ転送されてしまいます。

転送された郵便物を取りに破産管財人のところまで行くか、自宅に郵送してもらう等の処置をしなければいけないので、手間や時間がかかります。

転送される期間は破産手続の開始から終了までですが、「債権者集会まで」というケースも多いようです。

ただし、同時廃止の場合は破産管財人そのものがいないため、郵便物の転送は行われません。

転送されるのは破産申立人宛の郵便物のみなので、同居している家族宛の郵便物は転送されません。 
また、転送の対象はあくまで「郵便物」なので、郵便局が関わらない民間の宅配業者からの荷物等は通常通り受け取ることができます。

4.自己破産の不安は弁護士へご相談ください

自己破産をすると引っ越しに制限がかかりますが、裁判所の許可があれば問題ありません。
また、自己破産手続さえ終われば自由に引っ越しが可能です。

その他、自己破産によるデメリットについては弁護士に相談し、事前に確認しておきましょう。
弁護士に相談すれば自分の身に降りかかるデメリットや制限を受ける期間を教えてもらえますし、複雑な自己破産の手続も代行してもらえます。

安易に自分で自己破産を行うのではなく、破産に失敗しないためにも、必ず弁護士に相談してから実行に移すことを強くおすすめします。

自己破産に関して不安がある方は、泉総合法律事務所の弁護士にぜひ一度ご相談ください。

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